「動物の殺処分ゼロを達成」というニュースのまやかし
2019.4.5
東京都は、平成30年度 東京都の犬猫の殺処分数がゼロであったと発表した。
動物の殺処分ゼロを達成しました(都保健福祉保健局)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/04/05/03.html
殺処分数の推移は以下の通りで、
平成29年度の犬の殺処分ゼロ達成に続き、平成30年度は、猫の殺処分もゼロを達成したというもの。
平成27年度→犬10匹、猫193匹
平成28年度→ 犬0匹、猫94匹
平成29年度→犬0匹、猫16匹
都では、都保健福祉保健局による啓蒙活動や
登録譲渡先(61箇所、R1,5,7現在)との連携等により達成できたと分析。
小池知事は記者発表で、
「引き続き共生社会を目指す。
また、飼い主の高齢化や死亡により行き場の無くなったペットの新たな譲渡先確保にも取り組む。」
とコメントした。
さらにネット記事では、”選挙公約、7つの「●●ゼロ」のうち1つを達成”と結んでいる。
(犬と猫、都内の殺処分ゼロに(産経新聞)
https://www.sankei.com/life/news/190405/lif1904050039-n1.html )
そもそも、都で収容している動物の数はどれくらいなのだろうか。
平成30年度の詳細はまだ発表されていないので、
平成29年度の数字を検索してみた。
すると、犬426頭、猫784頭 が何らかの理由で収容されている。
動物の総取扱数の推移(平成20年度~平成29年度)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/toukei/tokyo-toukei.files/pdf1.pdf
その「何らかの理由」はこちら
過去10年間の捕獲・引取り・負傷動物収容数(平成20年度~平成29年度)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/toukei/tokyo-toukei.files/pdf2.pdf
収容された動物のその後はこちら、
過去10年間の返還・譲渡・致死処分数(平成20年度~平成29年度)
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/toukei/tokyo-toukei.files/pdf4-2.pdf
上記では、平成29年度の処分数はそれぞれ、
犬19頭、猫469頭
となっている。
ここに数字のカラクリがある。
「殺処分」の定義はどのようになっているのだろう?
ということで、動物愛護センターのお仕事を確認することに。
東京都動物愛護相談センター「業務案内」内に
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/douso/gyoumu.html
2 動物の保護と管理 (3)動物の管理、 (6)殺処分 という項目がある。
この定めに従った結果、どのような処分がなされたかも公表されている。
平成29年度致死処分数の内訳
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kankyo/aigo/toukei/tokyo-toukei.files/pdf5.pdf
つまり「殺処分」とは、上記表中の①②以外をゼロにした、という発表である。
言い換えれば、①と②を増やせば、達成できると言えなくもない。
うがった見方をすれば、
殺処分ゼロの達成のために、救える命を見殺しにした可能性もある。
もっとひねくれて考えてみた場合、
「満員電車ゼロ」や「多摩格差ゼロ」など「7つのゼロ」の公約を掲げてはみたものの、
いずれも実現困難とみて、あたかも達成したかのようにみえるものとして
殺処分が利用されたのではなかろうか?
再度、年度別で収容数に対する殺処分数をみると、
平成28年度は、 収容した925頭のうち10%にあたる94頭が殺処分、
平成29年度は、同784頭のうち2%にあたる16頭が殺処分となった。
また、減少率でみた場合、925から784へ84%の減少で
殺処分は、94から16へ17%の減少である。
同じ基準を当てはめて措置が行われた場合、16頭ではなく、79頭が処分されるのではなかろうか?
差の63頭はいったい、、、?
果たして、これは適切な措置が行われた結果なのだろうか?
詳細の公表を待ちたい。